バイタルサイン講演会

  • 2009年3月29日

株式会社アステム宮崎営業部にて、宮崎県薬剤師会の協力の下、九州保健福祉大学薬学部高村徳人先生と徳永仁先生をお招きし、6年制薬学部の講義内容に関する講演を行いました。

司会進行:奧田

司会進行:奧田

今回ひむかメディカルが主催した講演会は、2年後の6年制薬剤師の誕生を見据えてのものです。

私たち4年制薬剤師が社会的責任を果たす上で6年制になった薬学部で新たに行われる講義内容を知ることは、避けて通ることが出来ません。なぜならば、4年制では社会のニーズに応えることが出来ないため、6年制へと移行した背景があるためです。

高村教授

高村教授

講演概要

Ⅰ、「薬物投与法・バイタルサインチェック・救急救命法の実習から見えてくる薬術の重要性」

九州保健福祉大学臨床薬学Ⅱ教授 高村徳人先生

Ⅱ 「ベッドサイド実習におけるバイタルサインの確認法と薬学臨床技術導入学の実践」

九州保健福祉大学臨床薬学Ⅱ 徳永仁先生

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高村先生は蛋白結合置換術の第一人者です。

今回は九州保健福祉大学薬学部(以下、九保大)においてのベッドサイド実習の内容、その意義について講演していただきました。

臨床能力に長けた薬剤師の養成のために九保大のベッドサイド実習では、オブラートや服薬ゼリーを用いた偽薬の服用、ネブライザーの使用、患者シミュレーターを用いた坐薬・浣腸の投与など、その実習内容は在宅医療にも通じるものとなっている点を説明していただきました。

また、薬剤投与技術の習得や、バイタルサインチェックの習得以外にも、同先生は薬学的研究成果の投入された薬剤師技術(薬学的診断法と投与法=薬術の修得)の必要性を力説しました。

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それに続く徳永先生には、高機能患者シミュレーターを用いた救急救命法の実習風景の動画を用いながら講演していただきました。

バイタルサインチェック・救急救命法の実習は、薬の効き目・副作用のチェックと蘇生(患者の苦しみ・命の尊さに対する理解)への貢献を目的としたものです。

こういった一連の実習を通して、処方箋を通して患者の治療に当たるのではなく、患者を通して処方箋を判断し治療に当たるという大きな転換が期待されます。

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従来、薬学部では有機化学や生化学など微視的な視点から薬を捉え、実際薬を使う「人」について学ぶことを疎かにしてきたと思います。

その点で、九保大のベッドサイド実習は従来の「薬を通して人を見る」から「人を通して薬を見る」ことへの大きな変化を感じました。

このような教育を受けていない私たち4年制薬剤師にとって6年制薬剤師はまさしく異星人であり、高齢社会で在宅医療が進んでいく中、必要とされる薬剤師は当然後者となるでしょう。

今回約120名もの参加者があり、6年制薬剤師に対する関心の高さを感じ取ることが出来ました。その思いを無駄にせぬよう、今後も九保大と定期的に会合を持ち、何らかの形でフィードバック出来ればと思います。